Vol.3『大事な家族だからこそ、「美味しく」食べてくれる食事を考えたい』(後編)
INTERVIEW:ペット食育協会認定上級指導士 安藤 愛さん

大切な愛犬&ファミリーのライフスタイルにプラスとなる「意外と知らなかった!?」な情報をお届けするこのコラム、今回は特別編!ペット食に詳しい有識者にインタビューし、ご自身のご体感やご体験、また愛犬との健やかな食生活についてなどを伺いました。

実は「食べてはダメなもの」は意外と少ない!?

愛犬の食事を手作りする際に気をつける点について、そして愛犬と一緒に楽しめる簡単メニューを伺いました。

「犬が食べてはいけない食材はそこまで多くありません。講座でもお伝えしているのですが、ペットフードの歴史は約60年ほどですが、人間と犬が一緒に暮らし始めたのは、何万年も前からです。ペットフードができる前は、どのご家庭も残飯をあげていたかと思います。つまり、ずいぶんと長い間同じものを食べていたということです。

もちろん、気を付けた方がいい食材はあります。例えば、ねぎ類をわざわざ与える必要はないと思います。ですので、愛犬用の手作りご飯に入れなければいいですし、家族の食事とまとめて作る場合は、ねぎ類を入れる前にわんちゃん用に取り分け、その後に人間用に仕上げればいいでしょう。

あとは、手作りご飯を年齢によって変える必要はあまりないと思います。もちろん、人間でも活動量の少ないシニアの方に脂肪分たっぷりの食事は適さないのと同じように、シニアのわんちゃんにエネルギーたっぷりの食事をあげる必要はないと思います。けれども、健康であれば、シニアだからとあまり節制しすぎず、好きなものを食べさせて良いと私は思っています。愛犬の食事を手作りするようになれば、一緒に作って食べられるメニューも身についてくると思います。ちなみに我が家は、ほとんど毎日一緒に食べられるものを作って、愛犬達にあげています。

愛犬と一緒に楽しめるメニューとして、ポトフは簡単ですからお勧めです。野菜とお肉を全部一緒に茹でて作れるので手軽ですし、肉と野菜の美味しい出汁が出ているので、わんちゃん達も喜んで食べてくれると思います。愛犬には塩コショウをする前の状態でよそってあげて、後から人間用に味付けをしたら良いでしょう。簡単に作ったご飯だと食べないグルメなわんちゃんに、一手間加えて出汁をとって作ったら好き嫌いなく食べるようになったという飼い主さんからのご連絡もあります。食の細いわんちゃんにはぜひ出汁をとって作ってあげてほしいと思います。

ポトフ以外だと、一年中スーパーで売っている冷凍のカツオのたたきをサクで買い、真ん中を人間家族が食べて、端の部分は茹でてあげるだけで、愛犬は美味しく食べてくれると思います。もっと簡単なものがいい!という方は、サバの水煮缶を使うのもおススメです。非常食としてストックされている方も多いと思うので、肉の代わりに手軽に使うことができると思います。

最近はグルメなわんちゃんも多いです。好き嫌いがある子供のために、苦手なものをすり下ろして料理に入れるように、食べてもらえるように工夫をする。難しく考えずに、そういう意識を持つことができたら良いのかなと思います。飼い主の工夫は、愛情として愛犬にも伝わっていると思いますよ。」(安藤さん)

 

「いぬ」も「にんげん」もいっしょ

「講座にはご夫婦やご家族で受講される方が多く、本当にワンちゃんは家族なんだなと改めて思わされます。」愛犬も飼い主も同じ家族だ、と最後に安藤さんはおっしゃっていました。

「世の中には色々な情報が出ているので、だからこそ不安になったりすることもあると思います。もしドッグフードを食べなくなったら、自分たちの場合と同じように愛犬のご飯についても考えてみてほしいんです。例えば、手軽に食べられるファーストフードって、たまに食べたくなったりしますし、忙しい時には便利だなと思う反面、毎日食べたら飽きてしまったり、少し健康に不安を持ったりするものですよね。もし愛犬がドッグフードを食べないのであれば、毎日同じものを食べる事に飽きているのかもしれません。

私は、自分自身がインスタントフードを毎日食べるわけではないので、愛犬たちにも毎日ドッグフードを食べさせたいと思わないだけなんです。赤ちゃんに、市販のベビーフードだけを毎日あげるお母さんはあまりいないでしょうし、かといって、毎日裏ごししたり手作りでなければいけないわけでもないですから、それと全く一緒だと思っています。だから、旅行のときや多忙な日などは、ドッグフードに頼ればいいと思います。水分をきちんと摂っていればドッグフードそのままをあげても良いですし、何かトッピングしてあげるだけでも充分工夫になります。臨機応変にその時の愛犬の状態に合わせて食事を用意してあげて、愛する家族であるわんちゃんが美味しく食べてくれたらそれで良いと思います。

うちの子たちはもう何年も手作りご飯を食べていますが、そのご飯が原因で病気になったことはありません。愛犬の食事に対してあまりナーバスにならず、人間も犬も、美味しく好きなものを食べることで心も体も健康になると私は思っています。」(安藤さん)

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「人はそれぞれ体調や好き嫌いで食事内容が異なります。それと同じように、食べさせない方が良いとされている食材をわざわざ与えることはせず、その子その子に合わせて美味しく食べられるように工夫する。その上で、一緒に食事の時間を楽しむ気持ちを大切にしたい」という安藤さんは、笑顔が素敵な明るくチャーミングな方でした。愛犬の食事について悩む点がある方は、参考にしてみてはいかがでしょうか。

 

 

 

安藤 愛(あんどう あい)
・ペット食育協会認定上級指導士
・飼い主さんとわんちゃんのためのブランド「Seaside Rose」(https://seasiderose.jp)オーナー
・フードコーディネーター

 

東京生まれ、東京育ち。
家族全員でご飯を食べる家庭で育ち、料理上手な母の影響で小さい頃から料理、お菓子作り、パン作りが大好きに。大学卒業後、広告代理店で外資系企業や海外クライアント、海外での制作作業を担当する営業職に約20年間従事。会社員生活と並行し週末はフードコーディネータースクールに通い卒業。平日は朝から夜中まで働き、飲みに行く不摂生・不健康を極めた生活を送り常に体調が悪い毎日だったものの、愛犬ローズとの生活を重視した結果、人間ドックの結果Aが並ぶように。ローズが出産し、現在ローズ+ローズの子供たち(リーフ、ピノ、ブラン)4頭と暮らす。ローズ一家のために、東京から鎌倉に移住、その後さらに山中湖に移住し、ローズ一家中心の生活を送っている。日々、講座開催をしながら、飼い主と愛犬が幸せになるためのブランド「Seaside Rose」(https://seasiderose.jp)で、質の高い食材を使った犬の手作りごはん、ペット用口内ケア商品などをネット販売中。

著書『おひとりさまとローズ一家』(主婦の友社)
ブログ『obabaのブログ』https://aiando.com

インスタグラム
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